怪作であり快作 安田章大『9』を考察する(前編)
2021年11月17日に発売された関ジャニ∞通算10枚目、約4年半ぶりに発売されたオリジナルアルバム『8BEAT』。
各形態の簡単な紹介はこちら↓
hanachirusato-88.hatenablog.jp
その中で今回は完全生産限定盤に収録されています安田章大作詞作曲『9』について書いていきたいと思います。
このブログを読んでくださる皆さんはもう『9』を味わい尽くしたであろうという前提でお話を進めます。ネタバレ回避の方はここより先は進まない方がいいと思います。(『9』堪能し終わったら覗きに来て下さったら嬉しい……)
受け取り方はそれぞれなので、あくまでも私が感じたことを書きますね。
外しきれるかどうかわからないけれど安田くんのファンとしての人格フィルターを外して考察していきたいと思います。
その前に叫ばせて。
安田くん天才ー!!!!!
ぎゃー!!!!!!好きすぎるー!!!!!
安田くんこれはやったな!やっちゃったな!!!
はい。フィルター外しました。
それでははじまりはじまり。
曲のはじまりの合図は長い深呼吸の音。
息を吸うときは空気が流れ込む音だけですが、吐く時は「はあ」という低い声が混じります。紛れもなくこれは安田くんの深呼吸。MVでは、この深呼吸や、随所随所の効果音を表現するのは黒い衣装を身に纏った安田くん(以下:黒安田)です。
白い衣装を身に纏った安田くん(以下:白安田)の歩いている後ろ姿が映ると同時に歌いだし。
君と一直線 左脳部屋へ(安田章大『9』より)
2021年11月17日発行雑誌『MG NO.8』で安田くん自身がこの楽曲について、このように触れています。(一部抜粋しますが全文通して読んだほうがより彼の頭の中が覗き込めるので個人的には手に入るうちに購入をお勧めしたい)
曲を作っているときにずっと頭にあったのは「人にはさまざまな側面がある」ということ。(MG NO.8より一部抜粋)
黒安田が映るときの画面はモノトーンで、色が入っていても抑えた色調になっています。今や彼のトレードマークになった眼鏡を外してアイメイクを施し、狂気を滲ませる目つきを見せます。
一方の白安田は色彩を感じさせる映像になっていますが自然光を基調に落ち着いた色合いになっており眼鏡をかけたり外したりしながらも黒安田に比べると穏やかで柔らかい表情をしています。
黒い部分も白い部分も自分であり、共に「左脳部屋」へ入る。論理的思考を司るといわれている左脳へ。
それは双方
拒否する権利はない(安田章大『9』より)
のです。
続く歌詞に「紫のアネモネ」が出てきます。紫のアネモネの花言葉は「あなたを信じて待つ」です。
アネモネ全般の花言葉って悲しいものが多いんですよね。「はかない恋」とか「見捨てられた」とか「薄れゆく希望」とか。色別でみると希望を感じさせる花言葉もあるのですが、あえて“紫”のアネモネをここで登場させる安田くんの感性にため息がでます。
(本筋から外れるのでこちらで触れるのは控えますがギリシャ神話におけるアネモネのお話がなかなか趣深いのでお時間があるときにでも調べてみて下さい。神話の神様ってやりたい放題。)
さて、話を元に戻しましょう。
「拒否する権利はない」と言いながら「あなたを信じて待つ」のです。すごい圧。私なら行きたくない。それがたとえもう一人の自分であっても後戻りしたい。だって
甘い魔界の音色でLet's go
ですよ?“魔界”に誘われているんですもの。どんなに甘い香りに誘われてもそこにはもう闇しかない。それでももう行くしかないんですよね。だって魔界に誘われるのが自分ならば、魔界に誘うのも自分だから。左脳を魔界と表現するなんて面白い。
MVで「Let's go」と歌うのは黒安田であることから、これより魔界に誘う側=黒安田、誘われる側を白安田と仮定します。
※MVではここから2番の歌詞へとうつります。ダンスバージョンのMVも同じくです。
これより2番に入るまで曲と歌詞からの考察になりますのでご容赦ください。
そして畳みかけるように「心配ない。簡単なことだよ。」というような一見優し気な言葉で黒安田は語り掛けますが
と、やはり強引な言葉を投げかけます。Blazingは「燃えている、焼きつくような、見えすいた、ひどい」などなど訳することができるらしいのですが、私は「僕のペースに合わせないと君のこと燃やしちゃうから」といっていると解釈しました。魔界の住人が相手の気持ちを考えてくれるとは思えない……。
そこからの歌詞はもうめくるめく愛欲の世界。あれ? 自分の頭の中の話じゃないの?どういうこと? と私は初めて歌詞を読んだ時に混乱しましたし、今も混乱しています。
割かれたいアツイ花芯 (安田章大『9』より)
だとか
求め視つめ合う 弄り慰め 蕩け合う (安田章大『9』より)
だとか、文学では情欲や愛欲を表す時に使われる表現だと認識しているのですが、皆さんどう思われますか?安田くん本人がMGでこの楽曲の世界観を解説しているのを読んだ上での推察ではありますが、人の様々な側面は全てその人自身であり、それらが混ざり合う、溶け合う、というようなことを表現しているのでしょうが、あえてこういった表現をするのが安田くんらしい。生と死、生と性、ということなのかもしれません。
湿る吐息 煩悩の性 本能の罠 I wanna (安田章大『9』より)
この「湿る吐息」のところ、ちょっとした仕掛けが施されています。一瞬歌詞カード間違ってる!? と思いました。安田くんごめんなさい。こういう表現の仕方もあるんですね。
そして1番はこう締めくくられます。
席巻しようか A world of four or more 透明な身体で (安田章大『9』より)
この「A world of four or more」をネットで翻訳してみたら「4以上の世界」と訳されたんですよね。4以上の世界を席巻するということは、今わたしたちがいる世界は4の世界なの? 四次元? 第4世界? 世界4大〇〇の4? 考えても考えてもわからないので安田くん教えて下さい。
1番を考察するだけで2500文字を超えてしまいました。
この難解な世界を果たして考察しきれるのか!? そしてこれまでも考察できているのか!? ファンとしての人格フィルターは外しきれなくてごめんなさい。だって好きなんだもん。
今日は気力も体力も限界なので前編はここまで。
後編に続く。続くはず。